認知症が原因で事故を起こした場合の救済制度について
認知症高齢者が事故を発生させた場合、その責任を家族に問うケースが過去に存在しました。愛知県大府市で2007年に発生した事故では、当時91歳の認知症男性が列車と接触して死亡しました。その後、列車に損害を与えたとして損害賠償請求をされたのです。
最高裁判決では「家族に損害責任はない」とされましたが、長年の間裁判が行われていました。今回は認知症高齢者の事故の救済制度と、自治体の保険について解説します。
認知症高齢者が事故を起こすリスク
認知症高齢者が引き起こす事故といえば、交通事故が何かと話題になっています。
- 高速道路の逆走
- 信号無視
- アクセルとブレーキの踏み間違い
- 車線オーバーなどのはみ出し
どれも人の命を奪いかねない大事故につながる可能性を秘めています。なかには家族の制止を振り切って車の運転をした結果、交通事故を起こすこともあるようです。また、判断能力が衰えているにも関わらず周囲がそれに気が付かず、対応できないままになっている認知症高齢者も珍しくありません。
事故を引き起こすリスクがあるにも関わらず、適切な対応ができないまま、社会問題にまで発展しています。
自治体が加入する保険について
認知症の高齢者が加害者になった場合の救済制度として、神戸市が2019年4月より全国ではじめて見舞金や賠償金を支給する制度が開始されています。この制度は、本人や家族を対象にした「賠償責任保険制度」で、2階建て方式となっています。
保険料は神戸市が負担し、保険金限度額は2億円です。神戸市のほか、神奈川県大和市、愛知県大府市、栃木県小山市、福岡県久留米市などが取組む予定とされています。
今後益々認知症高齢者は増える
今後日本の人口は減少しますが、高齢者の数、認知症患者の数は増加する見込みとなっており、このような事故が増えることが予想されています。NHK『私たちのこれから』によれば、2025年には65歳以上の高齢者が、軽度認知症(MCI)と認知症合わせて1,300万人超えに。今後、高齢者・認知症患者が引き起こす事故が増えることも予想されます。
まとめ
認知症患者が起こしうる事故に対して、各自治体の救済的措置として保険に加入する団体も徐々に増えています。認知症患者の増加に伴い、このような制度があれば国民もある程度安心して生活ができるでしょう。とはいえ命はとても尊く、替えがきくものではありません。認知症の早期発見・早期対応を心がけ、適切に介護保険サービスなどを活用することが第一です。

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